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販売店にも負担増のたばこ値上げ
 今日7月1日からたばこ代が値上げとなった。前回の値上げが03年7月だったから3年ぶりとなる。
 筆者は愛煙家だ。たばこを買いに行くと、自販機に「カートン、店にあります」と書かれた紙が張られている。
コンビニに入っても「たばこカートン販売中!!」のPOPが貼られ、10個入りカートンが2つ、3つ入った
「まとめ買い用」の持ち帰り袋が陳列コーナーにいくつも並んでいる。値上げの度に見られる光景だ。

 値上げ前には、愛煙家のささやかな抵抗とも言える「まとめ買い」の駆け込み需要があるが、日本たばこ産業
の集計によると、今年の増税前の駆け込み需要はこれまでの数量を大幅に超えて過去最高を記録したようだ。
 
 ・国内のたばこ販売数量(月間)は通常240億本レベル
 ・3年前の値上げ前月(6月)の買いだめ数量は約100億本
 ・今年6月の買いだめ本数はすでに120億本を突破し、最終的には
  160億本(月間販売数量400億本)に達する見通しという

 また、値上げされるたばこの銘柄は116種類、主力の人気銘柄は増税分20円を上回る30円の値上げで、
値段も300円の大台に上昇した。値上げとなるたばこの銘柄の種類をみると、

(紙巻きたばこ)115種類
        ・マイルドセブン シリーズ  21種類
        ・キャビン シリーズ      8種類
        ・セブンスター シリーズ    9種類
        ・キャスター シリーズ     9種類
        ・サムタイム シリーズ     2種類
        ・ピース シリーズ       9種類
        ・ホープ シリーズ       4種類
        ・フロンティア シリーズ    4種類
        ・ピアニッシモ シリーズ    4種類
        ・ウインストン シリーズ    6種類
        ・キャメル シリーズ      6種類
        ・せーラム シリーズ      4種類
        ・アルファ シリーズ      4種類
        ・ベヴェル シリーズ      3種類
        ・その他のシリーズ      22種類
(刻みたばこ) 1種類
        ・こいき            1種類

 値上げの日が近づくと、TVのニュースや新聞にまとめ買いに走る喫煙者の動向がとり上げられ報道されるが、
値上げで負担増加を強いられるのは喫煙者だけでなく、たばこ販売店にとっても負担が増え、気が重くなる。
 
 まず最初に、たばこの値上げが決まると、値上げ前日までに自動販売機の値上げ銘柄の価格と自販機の設定を
変更しなければならない。10種類、20種類のレベルであればそうでもないが、前掲の通り今回は116種類
の価格と設定の変更が必要になる。
 
 次に、お客のまとめ買いに備えて売れ筋銘柄のたばこの仕入在庫を増やさなければならず、一定の資金需要が
発生する。月に80万円の仕入のあるたばこ店であれば、少なくとも40万円以上仕入額が増えることになり、
この資金のスポット需要が発生する。たばこの仕入は口座引き落としによる現金決済であり、たばこが納品され
て二日後の引き落としとなる。
 
 さらに、販売数量の多い、あるいは数箇所の出張販売先(自販機設置)を持つたばこ店にとっては、値上げの
都度“余分な仕事”が増えることになる。
 値上げ当日(7月1日)現在の、値上げ対象銘柄のたばこの在庫本数を、それぞれの銘柄の種類別に数え、
値上げ対象銘柄のたばこ在庫本数が3万本を超える場合には、月末までに税務署にたばこ課税金額を申告し、
翌年1月の期限期日までに納税しなければならないのである。
 
 コンビニのように、扱い商品の一つとしてたばこを販売する店は、何人かの従業員もいて何の問題もないと
思われるが、そうでないたばこ店、専業主婦の奥さんやお婆ちゃんの“在宅ビジネス”的な一般的たばこ店にと
っては、けっこう面倒な、手間暇のかかる仕事になる。

 筆者の実家はたばこ店だが、たばこ以外にも塩、切手・ハガキ・収入印紙といったいわゆる専売品の販売店
をしており、実家に一人で暮らす、これらの販売を行う母親が、たばこの値上げがある度に「また値が上がる、
余計な仕事が増える、気が重い」と、大阪に住む筆者に夜電話をかけてきて零すのが常であった。
 
 実家のたばこ店は、田舎にしては比較的売上が多く、年間1,000万円を超えるAランク規模の販売店であり、
たばこの注文・仕入デリバリーが毎週であったこともあり、年寄りの母親一人による“在宅ビジネス”としては
手一杯の仕事であった。
 
 また、実家の店舗での販売だけでなく自宅前、役所や道の駅などいわゆる出張販売先に自動販売機を複数個所
置いていたので、これら自販機へのたばこの補充や故障保守に、毎日のように行かなければならない。
 
 たばこ以外にも、年末が近づくと年賀状の仕入に100万円単位の資金需要が発生する。学校の先生や近所の
お客から50枚、100枚といった年賀状の注文があり、仕入は現金、代金回収はお客が年賀状を受け取りに来
た時となるので、支払と入金に一週間程度のタイムラグも発生する。

 事務所の近くでこうした、奥さんやお婆さんが店番をしているたばこ店を見かけると、値上げで大変ですねと
たばこを買ったついでに思わず声をかけたくなってしまう。
 
 筆者が子供の時には、よく店番をさせられた。この頃、30円の値段のたばこが3種類あった。ゴールデンバ
ット、光、朝日。今回の値上げでゴールデンバットは140円になった。この40数年で5倍近く値上がりした
計算になる。
 朝日というたばこは、かっての東映やくざ映画で鶴田浩二などがよく咥えていたタイプのたばこだ。たばこの
半分ぐらいが空洞になっており、空洞部分を縦横に押し潰して口に咥え、喫っていた。太さも通常より大きい。

 筆者のような愛煙家は年々肩身の狭い思いが強くなっている。そのうち新幹線も喫煙車両がなくなるのではと
心配しているが、先日、日経本紙に、欧州〜日本間の航空便に「喫煙専用機」の導入を計画している航空会社
があるとの記事が掲載されていた。エコノミークラスの座席はなく、ファーストクラスとビジネスクラスのみの
編成で、高額のフライト料金を払ってもいいから機内でたばこを喫いたい乗客がターゲットとなる。
 
 外資系航空会社による「喫煙専用機」が申請されても、認可されるかどうかはまだわからないそうであるが、
逆もまた真の結果となるのかどうか、時代の流れとパラドックスの市場を狙った航空事業の可否に注目したい。
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